INTRODUCTION/名探偵モンク MONK

エイドリアン・モンク

「名探偵モンク」は米テレビ界の歴史を大きく変えたー

妻が殺害された事件がきっかけで、極度の強迫観念にとらわれてしまったサンフランシスコ警察の元刑事エイドリアン・モンク。潔癖症や高所恐怖症など数々の神経症を克服するべく悪戦苦闘しながら、天才的な能力を発揮して事件を解決するモンクの活躍をユーモラスに描いた「名探偵モンク」は、日本をはじめ世界各国で絶大な人気を誇っている1話完結型の本格謎解きミステリーの傑作シリーズだ。 アメリカでは2002年の放送開始直後から、トニー・シャルーブが演じるユニークなモンクのキャラクターが大評判となり、異色の名探偵ぶりが全米の視聴者を魅了。シャルーブが作り上げた「名探偵ポワロ」や「刑事コロンボ」などに匹敵する稀代の名探偵像は、多くのファンから愛されると同時に批評家からも絶賛された。
放送局は、ベーシック・ケーブル局のUSA。安定感のある面白さ、クオリティの高さは、それまでのアメリカのケーブル局の概念を覆した。「名探偵モンク」が始まるまでは、ケーブル局はネットワーク局のドラマを再放送するというのが主流であったが、本作の大ヒットにより、他のケーブル局もオリジナル・ドラマを製作するようになり、ケーブル局発のヒットドラマが生まれるようになった。さらに驚くべきことに「名探偵モンク」はその反響の大きさから、ネットワーク局のABCが再放送権を獲得するという、それまででは考えられない逆転現象を生み出した。米テレビ界の歴史を大きく変えた「名探偵モンク」は、海外ドラマファン必見の秀作シリーズなのだ。

名探偵モンク 場面写真

STORY 38の恐怖症。真実だけが特効薬。

サンフランシスコ警察の元刑事エイドリアン・モンク。変わり者ではあるが、鋭い観察力と抜群の記憶力、洞察力によって事件を解決に導く伝説の存在だった。しかし、最愛の妻トゥルーディが殺害された事件のショックで、潔癖症、高所恐怖症ほか強迫神経症が日常生活に支障を生じるほどに悪化。現在はカウンセラーのアドバイスに従い専任看護師シャローナのサポートのもと、犯罪コンサルタントとして活動しながら復職を目指している。

そんな中、市長選に絡む事件を見事に解決したモンクは市長からの絶大な信頼を得ることに成功。モンクの元上司リーランド警部は、渋い顔をしながらも難事件が起こるたびにモンクに捜査を依頼するようになる。数々の変わったクセやおかしな行動を取るモンクに戸惑うディッシャー警部補ほか周囲の人々の心配をよそに、事件解決に天才的な能力を発揮していくモンク。妻の死を乗り越え、強迫観念症を克服して刑事に復職できる日はやってくるのか……?

AWARD/名探偵モンク MONK

エミー賞、ゴールデングローブ賞他、全米ドラマアワードを総なめ!

TOPIC/名探偵モンク MONK

各界からのバラエティに富んだゲスト出演!

本作の主人公モンクに勝るとも劣らない、個性的なキャラクターを演じる芸達者なゲスト出演者たち。エミー賞では、2004年に映画『トランスフォーマー』シリーズのジョン・タトゥーロがモンクの広場恐怖症の兄を演じ、2007年には映画『ラブリーボーン』のスタンリー・トゥッチが俳優を演じてゲスト男優賞受賞を果たした。そのほか、シーズン1ではカントリー歌手の大御所ウィリー・ネルソン、『プリティ・ウーマン』の映画監督で俳優のゲイリー・マーシャル、シーズン2では「glee/踊る♪合唱部!?」のジェーン・リンチや映画『ロッキー・ホラー・ショー』のティム・カリー、シーズン3ではモデル・女優のカルメン・エレクトラからシーズン6のラッパー、スヌープ・ドッグなど、各界からバラエティに富んだゲスト出演者たちが登場する。

才人たちによる巧みなダイアローグ

思わずにやりとさせられる、粋で気の効いたセリフは本作の大きな魅力の一つ。「名探偵モンク」の生みの親であるクリエイターのアンディ・ブレックマンは、米の長寿人気バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」や深夜帯の人気トークショー「Late Night with David Letterman」などのライターとして活躍してきた才人だ。第75回アカデミー賞の台本にも参加するなど、ダイアローグに関しては超一流のスペシャリスト。「名探偵モンク」には、こうしたバラエティやトークショーを手掛けるスタッフも多く参加しており、練りに練られた巧みなダイアローグを生みだしているのだ。

番組関係者もファンも悲しみに沈んだ突然の死

モンクが依存している精神分析医チャールズ・クローガー役として、存在感を発揮してきたスタンリー・カメル。2006年4月8日に心臓発作のため65歳で死去したため、「名探偵モンク」のシーズン6第14話が最後のテレビ出演となった。この突然のカメルの死を受けて、本シリーズ内でもクローガーは死亡扱いとなり番組の関係者・ファン共に悲しみに沈んだ。新しくモンクのかかりつけの精神分析医となったのはドクター・ベル。演じるのは、「シカゴホープ」のフィリップ・ウォッターズ医師役や映画でもおなじみのへクター・エリゾンドだ。

さまざまな形で広がる「名探偵モンク」ワールド!

「名探偵モンク」の人気を受けて、2007年に放送局USAのサイトではウェブエピソードとして7話が公開された。2009年にはモンクの子供時代を描いた10話のエピソードが制作されたほか、本作の脚本を手掛けている脚本家のひとり、リー・ゴールドバーグによるオリジナル小説が2006年より8冊刊行されている。日本では、そのうちの「名探偵モンク モンク、消防署に行く」と「名探偵モンク モンクと警官ストライキ」(ソフトバンク文庫)が翻訳出版された。

番組関係者もファンも悲しみに沈んだ突然の死

「名探偵モンク」といえば、シーズン2から登場した印象的なテーマ曲が思い浮かぶファンも多いはず。タイトルは"It's a Jungle Out There"。楽曲は、ピクサーアニメ『モンスターズ・インク』と『トイ・ストーリー3』で2度のアカデミー賞に輝くシンガー・ソングライター、ランディ・ニューマンによるもの。まるでモンクの心境を表すような歌詞の内容に、ちょっぴりもの悲しさも感じさせるメロディ、そしてニューマン自身による味のある歌声は、一度聞いたら忘れられない。2004年には本作でニューマンがエミー賞テーマ音楽賞を受賞したほか、最終となるシーズン8第16話の挿入歌"When I'm Gone"でも、2010年のエミー賞作詞作曲賞を受賞している。ちなみに、シーズン1のインストルメンタルによるテーマ曲もしゃれっ気が効いていて耳に心地良い。こちらはミニ・シリーズ「CIA ザ・カンパニー」ほかでエミー賞楽曲賞を受賞しており、映画音楽でも活躍する作曲家ジェフ・ビールによるもの。ニューマンより先の2003年に、こちらも「名探偵モンク」でエミー賞テーマ音楽賞を受賞している。

さまざまな形で広がる「名探偵モンク」ワールド!

2002年7月に、米のケーブル局USAでパイロット版が放映されて評判となった本作。シリーズスタート直後からたちまち高視聴率をマークし、同年9月に米4大ネットワークの一つである地上波ABCでも放映が開始されるという快挙となった。実は「名探偵モンク」は当初、地上波のNBCでの放送が検討されていたが、主人公のキャラクター設定があまりにも変わっているということから傘下のケーブル局USAでの放送となったという経緯がある。しかし、番組が成功を収めた後も本作のキャスト&スタッフは共に、さまざまな規制が入る地上波に制作を移すよりも、クリエイティブな権限がより自由になるケーブル局での制作を希望してクオリティの高い番組作りを続けたのである。